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『週刊がん もっといい日』編集部(株式会社日本医療情報出版)
TEL.03-5688-7816
FAX.03-5688-7803


週刊がん もっといい日
2007年Vol.42
1月12日更新


07年1月5日更新内容 全記事はこちら

がん患者さんと家族に向けた
がんの痛み関する啓発小冊子について

『週刊がん もっといい日』の今週のニュ−ス欄で紹介しました、ヤンセンファーマと協和発酵が共同で制作し医療機関に提供した「痛みに関するがん患者さんと家族に向けた啓発小冊子」について、患者さんのご家族の方から、お便りをいただきました。
この小冊子ですが、再度、内容をご紹介しますと、タイトルは『がんの痛みにお悩みの方へ 伝えてください、あなたの痛み』。「痛みが分かるのは、ご自分だけです。我慢せずに、医師・看護師・薬剤師などに、痛みを正確に伝えることから、がんの痛みの治療がはじまります」との書き出しで、がんの痛みの治療についてまとめられたものです。
痛みの原因、痛みを表現するための方法、鎮痛薬に対する使用法等々、正しい知識習得に役立つ冊子です。
「近年、がんの痛みの治療は進歩しました。がんの痛みだから仕方ないと諦めないでください。痛みがあると、生活を楽しむことができなくなります。痛みがないことは、すべての人に共通した願いです。治療に専念したりすることができるようになります」と、大阪大学大学院医学系研究科教授で緩和医療学寄附講座の恒藤 暁氏は、同書の巻頭で述べています。
 がん=想像を絶する痛みとの闘いではなく、がんと宣告されたときから患者さんのQOL(生活の質)の向上、心のケアといった緩和ケアの必要性が指摘されているのです。

 今週もまた、皆さまにとって、「もっといい日」でありますように・・・。

☆☆☆「週刊がん もっといい日」VOL.42☆☆☆


会長 椚 計子(くぬぎかずこ)さん

ここにこの人

いくら治療法は進歩しても、
人間の心は今も昔も変わらないもの。
患者さんの不安を打ち明けられる場として
あり続けたい


創立20周年を迎えた
がん患者と家族・遺族の会「どんぐりの会」
会長 椚 計子(くぬぎかずこ)さん
がんの患者会は、患者さんやそのご家族にとって、共に病気の悩みや不安を語り、共有し、そして未来への希望や闘病への勇気を抱く掛け替えのない場として、今や全国的に数百組織を超える団体が存在しています。そんな患者会の草分け的存在ともいえる「どんぐりの会」は、昭和63年の設立以来、今年で20周年の節目を迎えました。がんの患者会というものがほとんど存在しなかった当時、「どんぐりの会」の立ち上げは、マスコミで大きく取り上げられ話題となりましたが、それから20年。改めて、会長の椚 計子さんに、「どんぐりの会」の歩みを振り返っていただきました。

ご主人が肝臓がんに侵されてから
家族の戦い、地獄のような生活が始まった・・・

 昭和62年、椚 総(くぬぎたかし)さんと計子(かずこ)さん夫妻は、総さんが肝臓がん手術後7か月にして、倉敷で開業する伊丹仁朗医師が主宰する「生きがい療法実践会」のモンブラン登山に参加しました。
がんを抱えながらも、懸命に頂上を目指す登山隊の姿は広くマスコミで報道され、帰国後、椚さん夫妻のもとには、全国のがん患者さんやご家族から相談が寄せられました。これがきっかけとなり、翌年、全国初の部位を問わないがん患者会「どんぐりの会」は、誕生します。
 そもそもの始まりは、昭和57年、総さんが50歳にして肝臓がんと診断されたことでした。手術を受け一応は成功するも、「がん=死」のイメージが今以上に根付いていた時代。しかも、前年に総さんのお兄さんが肝臓がんとなり、亡くなったばかりだったこともあり、総さんに付きまとう死への不安は、不気味な影のように日増しに濃くなっていったのです。
「その日から家族の戦い、地獄のような生活が始まった」と計子夫人は振り返ります。
 手術が終わった日から、死への不安から自暴自棄に陥っていく総さん。不安の矛先は、いつも計子さんで、がんになったことを「主婦の管理が悪いから・・・」と計子さんをなじることもしょっちゅうでした。時には、病人扱いされるストレスから家を飛び出したことも…。しかも、ちょうど家の新築と重なり、計子さんの肩には経済的な不安も重くのしかかっていました。
会員の年賀状を表紙に掲載した
会報どんぐり105号
シンポジウム
1987年にモンブラン登頂が話題となり
がん患者さんからの問い合わせが殺到

それでも当時は、夫ががんになったことを、近所にはおろか親戚にも打ち明けることができず、ましてや悩みを分かち合う患者会もほとんどない時代。悩みをすべて胸に抱え込み、ノイローゼ状態となった計子さんは、遂に自らの命を絶つことを選択します。
「ワゴン車に練炭を積み込んだところまでは覚えているのですが、そのあとはまったく意識がなくて…。本当に、たまたま夫がワゴン車のカーテンが閉め切られていることに不審を感じ、気付いたおかげで、何とか一命を取り留めましたが、発見後もしばらく意識が回復しなかったようです。あのまま亡くなっていてもおかしくありませんでした」(計子さん)
 このことがあってから、総さんは変わりました。「今まで申しわけなかった」と、計子さんを追い詰めてしまった自分の行為を深く後悔し、総さんは生きることに前向きに歩み始めたのです。
そんなときに出会ったのが、娘さんが持ってきてくれた、倉敷市のすばるクリニック院長の伊丹医師が取り組む「生きがい療法実践会」の記事でした。その内容に感動し、さっそく伊丹医師に連絡をした総さんは、そこでがん患者によるモンブラン登山の情報を耳にしました。
もちろん当時は、がん患者さんに登山をさせることは前代未聞の話。しかし、理解ある主治医から許可をもらえた総さんは、モンブラン登山という大きな希望を胸に、計子さんと山歩きのトレーニングを重ね、昭和62年、見事登頂を実現したのでした。
その姿はテレビで広く流され、帰国後、椚さん夫妻を待っていたのは、二人の姿に勇気をもらった全国のがん患者さんやご家族からの相談電話でした。
「その声のほとんどが、がん患者同士が語り合える場が欲しい。どうか作ってくださいというものだったのです」(計子さん)


患者さんや家族同士が悩みを思い切り語り合い
生きる希望や勇気を持てる機会を提供してきた20年

 こうして昭和63年に椚さん夫妻が中心となり立ち上げて以来、どんぐりの会は定例会や学習会、レクリエーションを開催し、患者さんや家族同士が悩みを思い切り語り合い、生きる希望や勇気を持てる機会を提供しています。
「辛い経験をしたからこそ、自分自身にとってもこのような患者会の存在が本当に必要でした。悩みをただ一人だけで解決しようとしても困難なことです。もう一人で悩まず、ここにきて存分に語り合ってほしい」と、計子さんは自らの想いを込めて語ります。
「がんに負けずにモンブラン登山」
7人のがん闘病者とサポート隊
(1987年)
平成元年に初代会長の総さんは亡くなられましたが、総さんの志は計子さんにより引き継がれ、「どんぐりの会」は、今も患者さんにとって掛け替えのない“支え合いの場”となっています。
 一般市民を対象に開催する講演会には、上智大学の教授をつとめらホスピスに造詣の深いアルフォンス・デーケン氏、ノンフィクション作家の柳田邦男氏、元桜町病院ホスピス科部長の山崎章郎医師をはじめ、錚々たる顔ぶれが登壇しています。
 そして会と会員とを結ぶ会報「どんぐり」は、活動記録とともに患者さんからの体験記などが紹介されていますが、今年早々に発行された105号目の表紙は、会員から届いた年賀状の数々が掲載されていました。

家族を亡くした遺族が集う
「青空の会」も新たに発足

 平成4年には、がんで家族を亡くされた遺族同士が悲しみを語り、共有できる場として、「青空の会」も設立。家族を亡くされたばかりの方も、ここで数年前に同じように家族を亡くした方と語り合うことで、「私もいつか、この方のように悲しみが癒えるときがくる」と、希望を持てるようになるのだそうです。
 発足から20年。この間、がんの患者会は全国で次々と立ち上がり、患者さんにとっては悩みを打ち明けられる場が増え、「がん」という病名も、世間的に以前よりは打ち明けやすい土壌が出来上がったといえるでしょう。「今のがん患者さんは幸せね」と、かつての自分を思い返しながら計子さんはふと漏らします。
「でも、どんなに治療が進歩しようとも、人間の心ってなかなか変わらないもので、いつの時代でもがんと言われたら辛いし、深く悲しむものです。そんな患者さんやご家族の悩みや不安が少しでも軽くなるよう、変わらずどんぐりの会をこれからも続けていきたい」と、計子さんの志は今も昔も変わらないままです。
 一度は死をも考えた計子さんですが、「あの時、偶然主人がワゴン車を見つけてくれたおかげで、主人もモンブラン登頂という希望が持て、そしてどんぐりの会をつくることができました。よく、“神も仏もいない”なんて言いますが、肝心なときに見えない大きな何かが、手を差し延べてくれるのね」と、朗らかに語ります。
その大きな力に見守られ、会員に支えられ、20年間継続してきたどんぐりの会。これからも今までと変わらずずっと、たくさんの患者さんやご家族の心を癒していかれることを願ってやみません。

■「どんぐりの会」の連絡先
所在地:東京都日野市多摩平4-9-2-604
「どんぐりの会」会長 椚 計子
電話・FAX:042-584-9826
Eメール:info@dongurinokai.jp
ホームページ:http://www.dongurinokai.jp/
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