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9月3日(金)の更新は都合により
お休み致します。 |
週刊がん もっといい日
2010年Vo.219
8月27日更新
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がんの予防、治療、再発防止に役立つ
がん情報サイト「週刊がん もっといい日」
毎週金曜日の更新です! |
がん情報サイト「週刊がん もっといい日」は、がんの予防、治療、再発防止に役立つ情報を、毎週1回、次の四つのテーマでお届けしております。更新は、毎週金曜日です。
■ 「がん闘病記」・・・患者さんに闘病体験を語っていただきます。
■ 「ここにこの人」・・・話題の人を紹介します。
■ 「がんの治療最前線」・・・がん治療にかかわる最新情報を提供します。
■ 「統合医療最前線」・・・統合医療にかかわる情報をします。
また、同時にがんにかかわるニュースをメールマガジンで提供しております。ただしメールマガジンのニュースをご覧いただくためには、次の手続きが必要になります。
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厚労省が新しい命を育む子宮頸がんワクチンの摂種率向上へ始動しました
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子宮頸がん予防ワクチンの公費助成へ厚生労働省が動き出しました。子宮頸がんの公費助成を求める要望書を今年7月、厚労省に提出していた、がん患者など23団体は、8月26日午後、長妻大臣、足立政務官らと大臣室で会談。厚労省側からは、新たに予防対策強化事業として150億円を2011年度の概算要求し、中学1年生から高校1年生を対象に摂種率45%を目指すことが明らかにされました。
この事業は、2009年12月、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防するワクチンが承認・販売されたことから、10歳代に子宮頸がん予防ワクチン、20歳からがん検診を受診する予防対策を進めるため市長村が実施する事業などの費用の一部を助成するものです。
この日、大臣らとの会談にのぞんだのは、23団体の代表世話人の吉川裕之日本産科婦人科学会常務理事(筑波大学臨床医学系産科婦人科教授)、前千葉県立がんセンター長の竜 崇正氏(医療構想千葉代表)、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議の今野 良氏(自治医科大学付属さいたま医療センター産婦人科教授)、市民のためのがん治療の会の會田昭一郎代表、らんきゅう(子宮がん・卵巣がん患者による患者のためのサポートグループ)管理人の穴田佐和子さん、ティール&ホワイトリボンプロジェクト理事の河村祐美さんら。
「ワクチン摂種の費用は欧米26か国にマレーシアを加えて公費負担になっている。今回の措置を第一歩として最終的に100%接種体制をとって欲しい」(世話役の吉川氏)、「中学一年生が100%接種すれば子宮頸がんは70%減少しますが、45%しか摂種しなければ広くうすくなってしまう」(今野氏)
子宮頸がんを体験した患者会の代表からは、「患者が、どれだけ世間から偏見を受け生殖能力を失い、しかも後遺症に悩まされてきかたかを知って欲しい」「日々つらい思いをしてきた。しかし素晴らしいワクチンができて、子宮頸がんをゼロにすることができるのは、すごいと思いました。国が目指す接種率45%は、残りの人たちを切り捨てることになります。生まれてくる子供たちを守るため、誰もが平等にどこでも予防接摂種が受けられるようにして欲しい」
子宮頸がんによる死亡者は年間3500人、35~39歳台が多く罹患し、小さな子供のいる20代~30代前半でも罹患しています。しかも、3500人の70%の命を救う反面、生殖機能を失い、生まれるべき生命を失っているお母さんも多いそうです。この実態を、厚生労働省は、どう受け止めたでしょうか。
厚生労働省は、子宮頸がんに対する正しい知識・検診などの重要性を踏まえて、がん検診とともに予防ワクチンンの接種率向上へ新規事業費として150億円を予算要求する傍ら、予防接種法に位置づけることも視野に入れて予防接種部会で検討することにしています。
がん患者ら23団体の要望に対して厚労省大臣が、直接当事者側に回答するのはきわめて画期的なことです。話し合いが終了した後、患者会の方々と懇談しましたが、『週刊がん もっといい日』編集部では、新しい命を育む予防ワクチンの摂種率を高めるため、できうる限り患者さんたちの声を、サイトを通じお届けすることを約束しました。
さて今週もまた、皆様にとって「もっといい日」でありますように・・・。
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| 「もっといい日」図書室からのお願い! |
がんの治療法(手術療法、化学療法、放射線療法、免疫療法、補完・代替療法など),食事療法、闘病記等々、がんに関する推せん書籍を、ご紹介ください。
皆さまが、最近読まれた書籍で、患者さんや家族の方々に、ぜひ読んでいただきたい書籍を、「もっといい日」図書室まで、下記の要領でお知らせください。
<お知らせいただく項目>
(1) 書籍名(2)著者と筆者の所属先及び連絡先(住所、電話番号)(3)発行出版社(住所、電話番号、メールがあればアドレス)(4)価格(5)簡単な紹介文(400字以内)(6)あなたさまの氏名、住所、連絡先(仮名も可)
送付先E-mail:yamamoto-iihi@gekkan-gan.co.jp |
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がん関連書籍を紹介した『もっといい日 図書室』をご利用ください
がんに関する書籍が、相次いで出版社から刊行されていますが、「うっかりして買い忘れた」「知人から聞いた」「確か新聞や雑誌で紹介されていた」等々、入手できなかったというケースは少なくありません。
そこで『週刊がん もっといい日』編集部では、がん関連書籍の発行先、著者の連絡先がわかる、『もっといい日 図書室』を開設いたしました。
リストには、書籍名、発行元(出版社名・連絡先)、著者(著者の専門部位・所属先・連絡先)を掲載しておりますが、ただし著者の所属先及び連絡先が変更になる場合もありますので、ご了承ください。今後、がん関連の書籍リストは、随時、追加していきます。
『もっといい日 図書室』の閲覧は、トップページ上部の「もっといい日 図書室」をクリックしてください。
☆☆☆「週刊がん もっといい日」VOL.219☆☆☆
工藤正俊医師
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治療最前線
ラジオ波焼灼術と分子標的治療薬の効果的利用で
肝がん治療のグローバルスタンダードを創造する
取材協力:近畿大学医学部附属病院
(大阪府大阪狭山市)
消化器内科主任教授
工藤正俊医師
工藤正俊医師
1954年愛媛県生まれ。78年京都大学医学部卒業。神戸市立中央市民病院に勤務。87−89年カリフォルニア大学デイビス校客員教授。97年より近畿大学医学部に勤務し99年より現職。2008年より同附属病院長。近大医学部奈良病院教授、同堺病院教授、神戸市立中央市民病院顧問を兼務。医学博士。 |
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肝がんに対する内科的治療、特にラジオ波焼灼術において日本を代表する存在として知られる近畿大学医学部教授の工藤正俊医師。「世界一の臨床医になる」と大学を飛び出し、最先端の臨床経験を積み重ね、いま再び大学で、肝がん治療の将来に向けた方向性を示すべく臨床と研究のトップで指揮を執る。特に分子標的治療薬を用いたTAEや動注化学療法との併用療法など、その成果において従来の肝がん治療の常識を覆す可能性を秘めた研究の最前線に立つ工藤医師に、消化器内科医としての自身のこれまでの実績を振り返りつつ、今後の展望を語ってもらった。
「世界一の臨床医になる!」
その夢を求めて大学を飛び出す
工藤医師が大学を卒業した昭和50年代前半、大学の医学部では暗黙のうちに「基礎研究が上、臨床は下」という序列が存在したという。こうした風潮に反発した工藤医師は、「世界一の臨床医になりたい」との思いを胸に大学を飛び出し、神戸市立中央市民病院に身を置くことになる。
「今思えば、若いうちに臨床の最先端を行く病院で修行ができたことが大きかった。最先端の現場で見えてくるもの、そこで生まれる課題など、世界の誰も気が付いていないことを自分の目で見つけることができる。その感動は何物にも代えがたいものがあるんです」
工藤医師はそうしたことを論文にまとめるようになる。大学を飛び出した自分が再び論文を書くことになるとは思ってもいなかったが、「臨床の最先端にいる者が、そこで見出したことを発表しないのは、医学者として罪である――」という先輩の意見が、彼の考えを変え、その後の医師としての人生をも大きく変えることになる。
書いた論文はどれも国際的に高い評価を受け、学外に身を置いたままで学位も得た。海外にも仲間や理解者が増え、33歳の若さでカリフォルニア大学デイビス校に客員教授として招かれる。
「アメリカでの2年間はあらゆる面において衝撃的でした。すべての仕事に完全な分業制が敷かれていて、しかもその全ポジションが対等なんです。当時の日本のような無意味な競争や上下関係もなく、自分の診療や研究に没頭できる環境が整っていた。このシステムは何としても日本に帰ってからも取り入れようと決意して帰ってきました」
帰国後、その決意を忠実に実践した工藤医師。そこから肝がんの内科的治療の第一人者として知名度を高めていく。
ラジオ波治療の第一人者として
工夫と発想の転換を臨床に生かす
工藤医師といえば、肝がんに対するラジオ波焼灼術のスペシャリストとして内外に知られる存在。ラジオ波焼灼術とはその名の通り、肝臓にできたがんに電極を刺してラジオ波という電流を流し、がん組織を焼き殺す治療法だ。それ以前に導入されていたエタノール注入術に対して有効性と安全性において上回る治療法として、近年外科的切除が困難なケースを対象にスタンダードになっている。
工藤医師がこの治療法を最初に目にしたのは、UCデイビスに籍を置いていた時代だ。
「たしか87年のこと。私の隣のラボで、動物を使ったラジオ波治療の実験をしていたんです。アメリカは肝がんが少ないので、転移性肝がんを念頭に置いた実験ということもあり、あまり興味は持たなかったのですが(笑)」
それから12年の歳月を経て進化したこの治療法は、晴れて日本でも臨床導入される。工藤医師が神戸市立中央市民病院から移籍直後の99年6月に、近畿大学が国内第二号のラジオ波焼灼術を開始する。まだ保険適用前のことだった。
以来ラジオ波一本で取り組んできた工藤医師の元には全国から患者が集まるようになる。特に元の病院でトラブルを経験した等の難度の高い症例が中心となるが、それでも年間400例近くの症例を誇っており、この数字はつねに東大に次ぐ国内第二位の座を離さない。当然そこには、第一人者ならではの高度なテクニックが駆使される。
「がんが横隔膜の下にあり、エコーでは見えない時などは生理的食塩水で人工胸水を作ってエコーで確認できるようにする。腸管に接している部分を焼く時にも人工腹水を作って、腸管に穴が開くのを防ぐこともある。局所がんの周囲に拡散したエコーでも見えないがんには、第二世代の超音波造影剤をガイドに使うことで、ムダなく正確な焼灼を行うという方法もあります」と語る工藤医師。ちなみに最後のテクニックは工藤医師自身が編み出したもので、この方法を発表した論文は2008−2009年に発表された肝臓学会の最多引用論文として表彰されている。
当人は「発想の転換ですよ」と謙遜するが、まさに日本の肝がん治療を劇的に進化させたひらめきと言えよう。
10年生存を「当たり前」のことにし
「完全治癒」を視野に入れた治験へ――
ラジオ波焼灼術を行った患者に工藤医師が積極的に薦めるのがペグインターフェロンによる維持療法だ。定量投与ではなく、副反応がほとんど出ない四分の一量を投与する方法で、これにより再発のリスクを大幅に低減し、肝がんでは困難とされてきた「10年生存」を珍しくないものとしている。現在工藤医師の元で80人ほどの患者がこれを続けている。
「基本的に一生続ける維持療法なので、強い副作用が出たのでは意味がない。しかし、再発リスクを考えると有意差を持って効果のある治療法であり、医療経済的側面からも注目されてしかるべき治療法と言えます」
そんな工藤医師が現在特に力を入れているのが、分子標的治療薬を効果的に使った治療法の治験や臨床試験だ。現在国内で肝がんの分子標的治療薬「ソラフェニブ」(商品名ネクサバール)を使っている症例は3000ほどだが、そのうち近大は130例と断トツの首位。ラジオ波焼灼術後のソラフェニブ使用は現在保険では未承認だが、近大はその臨床試験を行っており、これは世界中でも5本の指に入る症例数を誇っている。
また国際規模で行われる新薬の治験では、工藤医師が最高責任者として旗を振っている治験も進行中だ。これは新薬との比較対象がプラセボではなくソラフェニブだ。保険診療で処方されるとひと月70万円の三割負担となる高額薬剤のソラフェニブだが、治験となれば無料で受けられる。患者にとってのメリットは極めて大きい。
「これ以外にも、動脈塞栓療法(TAE)や動注化学療法とソラフェニブの併用など、非常に相性のよさそうな組み合わせがある。私が組織した厚生労働省の研究班で、こうした試験の検証を進めて行きたい」と工藤医師。
従来の肝がん治療は、手術やラジオ波できちんと治療ができても、生存期間は5年以降右肩下がりとなるのが実情だった。しかし、分子標的治療薬の効果的な活用で、再発抑制による予後の延長や、根治的治療ができたケースでは完全治癒さえ視野にとらえるところまで来ていると工藤医師はいう。
「目の前の患者さんを救うのは当然のこと。しかし、いま私たちがしなければならないのは、世界の肝がん治療を変えることなんです」
世界一の臨床医を目指した若きドクターは、その目標をほぼ手中に収めつつある。
近畿大学医学部附属病院 〒589-8511 大阪府大阪狭山市大野東377-2
電話072-366-0221 |
遺伝子療法最前線―(4)
「がん撲滅に向けた遺伝子診断・治療の方向性」
取材協力:UDXヒラハタクリニック
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がんの最先端治療が一般に普及していくにあたって、どうしても課題となるのが高額な医療費の問題である。また、完全なオーダーメイド治療である「がん遺伝子診断・治療」ともなれば、正確な遺伝子診断から薬剤の作成までの一貫した遺伝子分野の知識が実際に治療にあたる臨床医師に求められてくる。がん遺伝子治療の今後の課題と方向性について、UDXヒラハタクリニック(東京・秋葉原)の平畑徹幸院長に聞いた。
平畑院長
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【課題は1クール約800万円の高額な費用】
平畑院長は、当院のがん遺伝子診断・治療のシステムについて、「いまのところ遺伝子レベルの治療では、これ以上の方法はない。製剤をいかに安く大量に作れるか、それが現時点での課題です」と話す。
現在の当院の治療にかかる費用の目安は、このような内容だ。
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【表1】 《がん遺伝子診断と治療にかかる費用の目安(1クール)》
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| 内容 |
費用(税別) |
●がん遺伝子診断
(113項目に及ぶがん遺伝子過剰発現、
がん抑制遺伝子変異、メチル化などの検出)
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50万円 |
●DNAワクチン、サイトカイン遺伝子
治療―各6回 |
DNAワクチン:30万円×6回
サイトカイン:20万円×6回
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●スーパーNK細胞12回、スーパー
樹状細胞治療2〜6回 |
スーパーNK細胞:12.5万円×12回
樹状細胞ワクチン:25万円×2〜6回
(採血前の白血球増加因子2回注射は約8万円の別途費用が必要) |
●p53+FUS−1+IL−24+TRAIL
遺伝子カクテル治療 |
50万円×6回 |
※上記以外の分子標的治療薬などの遺伝子治療に関係のない治療は、別途料金が必要。
【スクリーニング検査を健康管理に役立たせる】
平畑院長は、「遺伝子診断にしても遺伝子治療にしても、患者さんがどこまで望むか。その内容に合わせてある程度は治療費を抑えることはできる」と、こう説明する。
「たとえば中には遺伝子治療は受けるつもりはないが、遺伝子診断を自分の健康管理にため、再発予防にために役立てたという人もいる。その場合、当院ではスクリーング検査(10万円前後)もやっているので90%ぐらいの確率でリスクが分かる。それで1項目でも異常があればフル項目の遺伝子診断を受ければいいのです」
治療では、1クールでよくなった状態をそのまま維持していく方法もあるという。
「遺伝子診断に合わせた分子標的治療薬と低用量の抗がん剤を使いながら、当院で作成したp53を少量ずつうまく使っていけば費用的には安く続けられます」
逆に極端なことをいえば、完全オーダーメイド治療のがん遺伝子治療では、「費用さえ考えなければ、どんながんでも治る時代を迎えてきている」という。
ちなみにメキシコとバハマに診療所を開設し、米国人を対象に遺伝子治療を行っているムーン医師の施設では、1クールにかかる費用は1000万円。それでも毎月20〜30人の新規患者が来院し、待ちの患者さんが100人単位でいるという。
【将来的には筋肉注射で
がんの進行を阻止】
遺伝子診断・治療の費用的な課題に対して、平畑院長は将来的に保険診療を目指している。
「がん遺伝子治療の領域のどこかで保険診療の風穴を開けなくてはいけないので、まずはワクチンで認可を取ろうと思っています。いま当院は東京医科歯科大学とタイアップして共同研究をはじめている分野があるので、認可取得に関しても協力し合って進めていけたらと考えています」
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ヒラハタクリニック内の遺伝子ラボ
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また、遺伝子診断・治療を普及させるためにも平畑院長は昨年からドクター向けのセミナーの開催もはじめている。ただ、現状のシステムでは大がかりな設備や数多くの遺伝子関連の製剤を作成する必要があるため、一般の小規模医療施設での導入は現実的には難しい。
平畑院長は「遺伝子のRNA(リボ核酸)にアプローチする、がん治療の領域が国内外の研究機関で進められている。当院も将来的には、もっと簡単に『筋肉注射だけでがんの進行が止まる』という領域まで遺伝子治療を進歩させていきたい」と今後の抱負を語る。
UDXヒラカタクリニックが入る
秋葉原UDX外観 |
ムーン医師と平畑院長が、これまで臨床現場で実用してきた遺伝子診断・治療は、今後、米国三大ホスピタルの一つであるメイヨークリニックで採用することが決定し、まもなく臨床試験が開始される予定だという。 |
今週のニュース
●BCネットワーク8月のメールマガジン情報
●NPO法人キャンサーネットジャパン、8月28日にがん医療セミナー「もっと知って欲しい婦人科がんのこと」
●9月16日に静岡で「子宮頸がん啓発セミナー」
●日本旅セラピー協会、ひと月で3〜5kgのダイエットを成功させる血糖コントロールダイエット講演会
●「よぼう(予防)」から「きぼう(希望)」へ高齢者の外出支援サービス産業の創出ビジネスコンソーシアムが経済産業省の調査研究事業として採択される
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クローズアップ
子宮頸がん予防のための予算規模について
東京大学医科学研究所附属病院内科
湯地晃一郎
(2010年8月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行)
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【はじめに】
子宮頸がん予防ワクチンに対する国民の関心が高まっている。2010年7月21日には、患者会、学会、専門家、市民団体など23団体が、ワクチンの公費助成を求める要望書を、5万を超える署名と共に長妻厚生労働大臣に提出した[1]。また関東知事会も要望書の提出を行っている[2]。現在全国1747自治体のうち、2都県(東京都・山梨県)126市町村で公費助成制度が制定されている[3]。
このような社会的な動きを受け、8月4日、5日の第175回国会参議院予算委員会にて、長妻大臣が厚生労働省として子宮頸がん予防ワクチンに対する予算要求を行うと明言した[4]。菅直人総理大臣も、ワクチンに合わせてがん検診などを合わせて予防効果が期待できるので普及策が重要であり前向きに取り組むべきだと述べた[5]。
8月16日には厚生労働省が、ワクチン接種助成事業として150億円を平成23年度政府予算に要求することが判明した[6]。しかしながらまだまだ予算配分は流動的である。
子宮頸がんはワクチン接種と定期検診を85%以上の女性に対して行った場合、ほぼ全女性で子宮頸がんの予防と早期発見が可能である[7,8]。来年から子宮頸がん予防ワクチンの公費補助が行われれば、検診・ワクチンの両輪が普及することで、日本においても子宮頸がんの予防が現実的になるだろう。では、どの程度の額の予算規模が必要なのであろうか。本稿ではこれを論じる。
【検診の予算規模】
まず検診である。検診への予算措置については、政府は平成21年度に乳がんと子宮がんに216億円を計上し、無料クーポンの配布を実施している[9]。対象年齢は、子宮頸がんの場合、20, 25, 30, 35, 40歳の年齢(2009年の人口統計[10]によれば、約4000万人)としており、一定の年齢のみである[11]。平成22年度予算案では、76億円が計上されている(地方自治体が半額負担)[12]。
政府のがん対策推進計画では、2011年までにがん検診率を50%に増加させ、がん死亡率を2015年までに20%減少させるという目標を掲げている。しかしながら、政府が子宮頸がん検診のために予算措置をした際の想定検診率は、厚生労働省の公式な資料は無いものの、地方自治体の公表資料を調査すると25%である[13]。想定予算算出の際には、政府の2011年目標である50%検診率の半分の値を使用していることになる。検診の予算規模は、十分な対象層、金額とはいえないのが現状である。
【ワクチンの予算規模】
続いて子宮頸がん予防ワクチンについて、今後議論されるであろう予算規模の試算を行った。試算に必要なのは以下の数値である。
1)推定対象被接種者の人口
2)推定接種率
3)推定公費補助率
4)推定接種費用(ワクチン費用及び医療機関での手技料)
1)
日本産科婦人科学会や、子宮頸がん征圧を目指す専門家会議などが公表している推奨年齢は、11歳〜14歳である[14]。これは諸外国の例と同じである。本稿でも11歳〜14歳として3学年分を接種対象とし試算した。この年代の人口(女児)は、総務省人口統計では約174.6万人である。
2)
推定接種率であるが、接種率は100%と50%として算定した。日本では、全国の接種率についての情報はまだ公表されていない。報道によると、学校での集団接種を行っている栃木県大田原市では、接種希望者が98%になったとの報道がある[15]。また、全額公費負担をしており、また個別接種体制で接種している市町村(栃木県下野市)での接種率は、約4割弱であり、このままのペースだと下野市での推定接種率は約6割とされている[16]。
今時点での正確なワクチン接種率推定は困難であるため、今回は接種率は100%と50%について試算した。ちなみに、英国での2008年〜2009年の1年間のデータでは約88%となっている[17]。
英国では希望者は無料でワクチンを接種でき、また集団接種という接種方法のためかなり高い接種率となっている。その他、先進約30カ国でも無料、もしくは無料に近い金額でワクチンの接種ができるが、保険制度で償還している国や、集団接種を行っていない国では、接種率は75%程度に留まっている。
3)
ワクチン接種費用の推定公費補助率については、現在補助を行っている地方自治体の約68%(86市町村/126市町村)が12,000円以上の補助、約90%(113/126)の地方自治体が6000円以上補助を行っている[18]。ワクチン代も含め、接種費用が全額補助されると推定した。
4)
ワクチン費用と接種の際に医療機関で支払う手技料に関しては、ワクチン費用は12,000円、手技料は4,000円とし、3回接種を行う前提で算出した。米国などでは、個別にワクチンを接種する場合と国が買い上げる場合で、価格差が存在することから[19]、日本においても国が全額補助をする場合には、ワクチン費用が安くなる可能性がある。
以上の想定のもと、11歳〜14歳(3学年分)を対象に予算規模を試算すると
・接種率100%の場合だと、約840億円[20]
・接種率50%の場合だと、約420億円
となる(接種手技料含む)。12歳のみの1学年とした場合は、単純にこの1/3となり、それぞれ約280億円、140億円となる。
【海外予算規模・接種状況】
各国の予算規模・接種状況について述べる。国として予算総額が算出できる、オーストラリア、イギリス、カナダについて記載した。米国については、国が子供たちの約半数に無料でワクチンを提供するプログラムを実施しているが、国と州を合わせた全体の予算としては州別に助成制度・接種制度が異なり、予算を算出するのが困難である[21]。
まず、オーストラリア。子宮頸がん予防ワクチン接種に国を挙げて取り組んでいる。予算は2006-2009年の4年間で総額436億豪ドル(日本円で331.3億円)である。人口は2200万人。対象は12-13歳の学校接種、14-26歳の個別医療機関接種である[22]。
続いてイギリス。予算は2009-2011年の2年間で4億ポンド(日本円で532億円)である。人口は6200万人。対象は12-13歳の優先接種(毎年1億ポンド、総額2億ポンド)、14-18歳までの追加接種(総額2億ポンド)である[23]。
最後にカナダ。予算は3年間で300億カナダドル(243億円)である。人口は3200万人。対象は12-13歳の学校接種、14-18歳の個別医療機関接種である[24]。
我が国の人口規模に換算すると、毎年数百億円の規模を支出し、ワクチン接種に取り組んでいることが窺える。
【おわりに】
本稿では、子宮頸がん予防のための予算規模について述べた。検診の予算規模は乳がん及び子宮がんで約220億円、子宮頸がん予防ワクチンの予算規模は接種率50%で初年度420億円、次年度以降140億円という試算結果であった。諸外国の予算規模は、我が国の人口に換算した場合、数百億円規模でありほぼ同等であった。
はたしてこの数百億円の予算希望をどう考えるべきだろうか。子ども手当は、満額支給だと5兆円を超え、現在支給されている額で2兆7千億円である。自民党が主張しているように、所得上位10%へのこども手当を辞めた場合には、それで270億円の財源になる。
さらには医療経済効果としては、12歳女児全員に接種(接種率100%)した場合、社会全体として約190億円のコスト削減ができるという試算結果があり、費用対効果が十分期待できる[25]。
子宮頸がん予防ワクチンと検診、さらには啓蒙や教育を合わせて総合的な予防策の普及が進み、その結果、子宮頸がんが予防できるという社会的、医学的意義は大きい。
8月16日に厚生労働省は、ワクチン接種助成事業として150億円を平成23年度政府予算に要求することを表明した。この要求は、経済成長や国民生活の安定などのため設けられる1兆円超の「特別枠」に対するものであり、今後厚生労働省政務三役が優先順位を付け、与党と調整して最終決定する。
さらには、特別枠をめぐっては、各省庁の要求を公開の場で議論する「政策コンテスト」を実施し、予算配分を決めることになっており、まだまだ予算決定までは流動的な状況である。
民主党は、自ら「Children First, コンクリートから人へ」を謳っている。前述のように、また要望書提出などに見られるよう、子宮頸がん予防に対する国民の要望は強い。
子宮頸がん予防に対してどのような計画と予算規模を提示し、財務省・政府との交渉を経て、最終的にどのような政策を打ち出すのかを注目していきたい。
【参考資料】
[1] 子宮頸がんワクチンの公費助成求め、23団体が合同で大臣に要望, ロハスメディカル, 2010年7月21日
[4] 子宮頸がんワクチン公費助成、予算要求へ 厚労相. 朝日新聞, 2010年8月5日.
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10年8月20日更新内容 全記事はこちら
☆☆☆「週刊がん もっといい日」VOL.218☆☆☆
遺伝子療法最前線―(3)
『V期でもがん消失60%以上の遺伝子治療の奏効率』
取材協力:UDXヒラハタクリニック
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世界各国でがん遺伝子関連の研究が急ピッチで進められているが、実際、「がん遺伝子診断・治療」が臨床現場で広く実用されるにはまだまだ年月が必要だ。しかし、“細胞レベルの治療”から“遺伝子レベルの治療”への変換によって、多くのがん患者さんが救われる時代を迎えることは間違いない。世界でもがん遺伝子治療をリードする「UDXヒラハタクリニック」(東京・秋葉原)の奏効率を検討する。
平畑院長
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【W期でも半数以上は進行止まる】
UDXヒラハタクリニックの平畑徹幸院長が、これまで「がん遺伝子診断・治療」を行った臨床例数は約100例。そのうち2008年10月から10年5月までの約50例の奏効率データが〈表1〉だ。
見て分かるように、V期では「完全寛解(がんの徴候が全て消失)」が62%、進行例は1例もみられない。W期でも進行が止まる「安定」以上が57%を占める驚きの成績だ。
平畑院長は「T期は100%治ります。たとえW期であっても、治療を3クール、4クール、5クールとやっていけば10%近くは完全寛解する可能性がある。末期の卵巣がんで余命2ヶ月と宣告された人でも治った症例がある」と話す。
また、米国人(白人と黒人)を対象に4000例以上の遺伝子診断、1000例以上の遺伝子治療を行ってきたムーン医師(平畑院長が遺伝子診断・治療を学んだ元韓国中央大学教授)の奏効率になると、W期でも「部分寛解」以上が80%以上に達するという。これは、米国人は遺伝子的に使える抗がん剤の容量がアジア人より多いことが奏功率の違いに現れているという。
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<表1>
《病期別の治療成績》
2008年10月〜2010年5月までの約50症例
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CR(完全寛解) |
PR(部分寛解) |
SD(安定) |
PD(進行) |
| T期 |
100% |
0% |
0% |
0% |
| U期 |
- |
- |
- |
- |
| V期 |
62% |
23% |
15% |
0% |
| W期 |
9% |
22% |
26% |
43% |
※データ収集期間中にU期の患者さん無し
【「もっと早く知っておけば…」の
患者さんの声】
まだ「がん遺伝子診断・治療」は認知度が低いため、当院を受診するがん患者さんの治療開始のタイミングがどうしても遅くなってしまうのが現状だ。
平畑院長は「がん発見後、すぐ来てもらえれば非常に治りやすいのだが…」といい、「それでもあきらめないで欲しい」と、こう話す。
「長野県に住む小細胞がんの男性で愛知がんセンターを受診する前に当院に治療の話を聞きに来たのですが、縦隔転移がたくさんあった。それで後日、やはり愛知がんセンターでは転移を消せないということで当院の遺伝子治療を受けたのですが、この患者さんのケースでは2ヶ月で転移はほとんど消えました」
遺伝子治療を受けたほとんどの患者さんから聞かれる声は、「こうなる前にもっと早く知っておけばよかった」という言葉だという。 |
遺伝子治療「画像をみる平畑院長」
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(別項)
《UDXヒラハタクリニックでの「がん遺伝子診断・治療」の症例》
◆乳がん(47歳・女性)
左胸にシコリを触知したため、近医を受診したが手術以外の治療を希望し、当院を受診。遺伝子診断の結果、p53の変異、サイトケラチン−7、20、血管内皮増殖因子(VEGF)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)などの過剰発現が認められ、これらの遺伝子異常をターゲットにして治療を構築する。
遺伝子異常は5個と少ないが、VEGF、VEGFRなどが発現しているため、がんのポテンシャルは高い。しかし、本人の希望により分子標的治療薬は使用せず、遺伝子治療のみを行うことを決定した。
治療内容は、まず、白血球分離を行い、スーパーNK細胞を培養12回分、遺伝子情報に基づく樹状細胞ワクチン2回分、DNAワクチン6回分、サイトカイン6回分を作成。また、最も大切ながん抑制遺伝子のカクテル5回分を作成し治療を開始した。
第1回のp53などのがん抑制遺伝子カクテルの点滴治療後、1週間で腫瘍の軟化が起こる。第2回、第3回と治療を進めて行くに従って、腫瘍の軟化と空洞化が進んで行き、エコー画像では腫瘍の嚢胞様に変化していることが確認できた。
さらに完全を期するために、腫瘍内へ高濃度のp53を直接注入した結果、単なる血液成分のみとなり、腫瘍は完全に嚢胞化した。穿刺細胞診をしたが、がん細胞は認められていない。 |
◆卵巣がん(46歳・女性)
余命2ヶ月を宣告され来院。多嚢胞性卵巣がんで、こぶし大の腫瘍が数個あり、腹水も大量に貯留していた。まず、腹水を抜くことから治療を開始。遺伝子診断を行い、腹腔内にp53のがん抑制遺伝子カクテルを注入。この治療を繰り返し、3クール終了時には、数個あったがんが縮小し、残り1個となった。
最後のがんは強い皮膜で覆われており、同じ治療ではがんを溶かすことができないと判断。本人の希望により韓国のがんセンターでサイバーナイフを施行し、がんはすべて寛解した。 |
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【最初の1クールで一気にがんの勢いを阻止】
何クール治療を行うかは、その人の状態によって回数が違ってくるが、やはり最初の1回目の治療が“勝負”になるという。
「最初にドーンと叩いてがんの勢いを抑えることが非常に重要。つまりp53(がん抑制遺伝子)が変異していると抗がん剤が効かない。p53を大量に使ったカクテル療法で、その性質を変えてやることで、薬剤がたくさん選択できるようになる。また、免疫ワクチンを使うことでもがん細胞の性質がよくなってくる」(平畑院長)
1クールごとに遺伝子診断を行い、がんの性質が改善されているか確認。そのデータを基に2クール目の治療の組み合わせを決めていき、がんと闘っていくのだ。
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次回は、「がん遺伝子診断・治療」の今後の課題と将来の方向性について取り上げたい。
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